社会人からの医学部合格は現役生と比較して若干不利であると言われています。
それは受験者本人の記憶力や判断力が低下しているという理由以外に、大学側がどうしても現役生を優遇しがちであるという背景も根底にはあるようです。
しかしながら、知識と経験を積み重ねた社会人ならではの強みに着目する医学部も多く、社会人にも平等に学習スペースを開放する予備校も最近では増えてきました。
社会人として医学部を受験する心構えについて紹介していきます。
社会人になってから医学部受験をめざす人には、大まかに分けて2つのパターンがあります。
ひとつは現役時代から医学部を志していたけれど合格を果たせず、看護師や医療事務など、医療関連の職種についた人。
このパターンの人は現役時代にある程度の知識を蓄え、日々の仕事でも医療に携わっているため、知識や経験面でのアドバンテージが強みだと言えます。
もうひとつのパターンは、社会人になってふと医療の仕事に魅力を感じ始めた人です。
このパターンでは現役時代の知識の積み重ねがほぼないに等しいため、記憶力などの面でどうしてもハンディを感じることになりがちです。
予備校に通う場合は必然的に休職することになるため、会社側の理解と本人の強い覚悟が必要になります。
ひと昔前までは、予備校は現役生や浪人生のためだけの空間というイメージがありました。
特に医学部となると社会人の合格率はあまり高いとは言えず、進学率を少しでも上げたい予備校側としては受け入れに積極的ではなかったのです。
ここ数年になってその状況が少しずつ変わりつつあります。
流れを変える大きな要因となっているのは、少子化です。
長引く少子化で子どもの数が減ったことにより現役生が入りにくい状況が生まれ、その穴を埋める存在として社会人が注目されているのです。
具体的な待遇は、予備校内でばらつきがあります。
現役生と平等に開放してくれる予備校もあれば、基本的には現役生優先で、決められた時間だけ社会人でも使えるシステムにしている予備校もあります。
社会人になってから医学部受験をめざすうえでは、現役生にはないいくつかのハンディを背負うことになると覚悟しておくべきです。
たとえ仕事として日々医療に関わっているとしても、実際の受験で必要となる知識は国語、数学、理科、社会と多岐にわたり、並大抵の勉強量では対応できません。
そのうえ、現役時代と違って仕事という大きな要素がくわわるため、勉強に費やせる時間が必然的にかぎられてしまう弱みもあります。
受験対策の段階で仕事を辞めてしまう人がいますが、みずから収入の道を絶つのはおすすめできません。
できれば会社の休職制度を使って受験対策に専念し、惜しくも不合格だった場合は復職できる道を残しておくのが精神的に追い詰められないための方策だと言えます。
社会人になっても医学部合格をめざして予備校に入ることは可能です。
ただし、実際の待遇については予備校によってばらつきがあり、事前の体験授業などで入念に確認しておくのがベターです。
自習室の開放時間がひとつのチェックポイントとなり、静かな環境で自習したい人は社会人専用の時間を設けている予備校を、ライバルが間近で見える環境に身を置きたい人は現役生と開放時間を分けていない予備校を選ぶと良いでしょう。