できるだけ入試倍率の低いところを選びたいところです。
倍率そのものはネットでも簡単に知ることができますが、数字の意味を正確に把握していなければ自分に合った大学を選ぶことはできません。
入試倍率は定員と受験者の関係でのみ決まるものではなく、また、倍率の低い大学が必ずしも入りやすいとはかぎりません。
ただのデータのように見える入試倍率の背景まできちんと読み解くことで本当に入りやすい大学がわかり、後悔のない医学部選びにつながります。
医学部の入試倍率とは表面的に言えば、その年の受験者と定員人数との関係を数値化したもので、医学部の入りやすさを表しています。
ひとつには、都市部よりも地方大学のほうが倍率がより高くなりやすいということがあります。
地方大学で医師免許を取得して都市部へ、というパターンは昔から一般的でしたが、都市部の一極集中をさける国の緩和策により近年その傾向がさらに強まっているようです。
前期と後期では後期のほうが倍率が高いことは常識として知っておいたほうが良いでしょう。
前期試験で惜しくも合格できなかった受験生が後期入試に集中するためで、そもそも後期試験を実施している大学が少ないことも要因のひとつとして挙げられます。
また、関西と関東で比べると、関西の国公立の倍率が高くなる傾向にあります.
単純に数字だけで見ると、倍率が10倍を超える医学部は合格のために相当な努力が必要な難関と言えます。
国公立の場合は10倍から15倍程度で安定していますが、私立となると50倍、60倍を超えるところがめずらしくありません。
国公立は弘前大学か愛媛大学。
私立であれば近畿大学が倍率が高くなっています。
ついつい数字だけに注目しがちですが、実際の入りやすさが一致しているわけではありません。
最難関と言われる医学部では、高校時代にトップクラスの偏差値をもつ学生のみが受験できるとされ、合格の可能性が高い学生しか受験していない場合があります。
そのため必然的に定員と受験者数がほぼ一致することになり、それによって倍率も低くなってきます。
難関と言われる医学部の入試を突破するのに必要なのは、月並みな表現ではありますが継続的な努力しかありません。
予備校の講義はもちろんのこと普段の学校の授業もしっかりと取り組み、幅広い受験科目に対応できるだけの基礎学力をつけましょう。
難関医学部の入試というとどうしても勉強づけの日々を連想しがちですが、多様な価値観を身につけるトレーニングも重要です。
最近の医学部では、筆記試験はもちろんのこと感受性やコミュニケーション能力など、「総合的な人間力」を重視するところが増えているため、面接での思わぬ質問にも対応できるだけのスキルをつけておきましょう。
知識一辺倒ではない人間的なキャパシティの広さはきっと、医師としての活動においても役立つことにつながります。
医学部の入試倍率は基本的に、関西私立、関東私立、関西国公立、関東国公立の順に高くなる傾向にあります。
また、入試の時期によっても倍率が変わり、前期よりも後期のほうが入りにくくなるのが一般的です。
都市部よりも地方の大学のほうが倍率の面で高水準なのは、偏差値の高い難関大学が地方に集中しているためと考えられます。
また、倍率が低いからと言って必ずしも狙い目というわけではなく、難関とよばれる関西の国公立などは倍率の低さが入りにくさの象徴となっている場合もあるため、数字に隠された意味もきちんと分析しましょう。