医学部を推薦で入学するメリット

公開日:2017.03.19 更新日:2022.11.14

医学部の入試は非常に難関ですが、入学するための受験方法は、一般入試だけではありません。
そこで、選択肢を広げられる推薦入試の特徴をお伝えします。

推薦入試は一般入試と比べて多くの違いがあります。
推薦入試で受験するためのメリットや合格のために必要なこと、推薦入試の対策ができる医学部予備校の特徴をまとめました。

合格のために、様々な方法を検討してみましょう。

推薦入試のメリット

どうして推薦入試に目を向けるべきなのか、一般入試と比較しながら推薦入試のメリットについてお伝えします。
ご自身の現状や今後のことを想像しながら、参考にしてみてください。

筆記試験の結果だけに左右されない

推薦入試は一般試験と違って筆記試験の学力重視ではありません。
小論文や面接などで、医学の知識や医師としての志などをアピールする試験方法が一般的です。

筆記試験があっても、そのウェイトは一般入試に比べて低く、小論文や面接のほうが重視されます。
つまり、意志やそのアピールといった人物重視の評価がされるということです。

また、学生生活での勉学以外の活動、特技などがある人も自分自身をアピールするのに活用できます。
スポーツ、文化活動などの実績、資格取得、コンテストの入賞経験などがある方は、推薦入試に適しています。

このように、推薦入試は一発勝負の大学入学共通試験の結果が重要ではないのです。
様々な科目を受験しなければならない共通試験対策に不安がある方、一発勝負の筆記試験が苦手な方にはおすすめの試験方式です。

筆記試験より、面接や小論文が得意だという方、テストの点数ではアピールできないような特技がある方は推薦入試を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

一般入試より結果が早い

医学部推薦入試は、早いところでは11月ごろに試験を実施し、結果が出ます。

一般入試で受験する場合は、そのころは年明け1月の共通試験対策に向かって勉強をしていることでしょう。
その後2月には二次試験もあり、まだまだ気が抜けません。
推薦入試では結果が早く決まるので、安心してクリスマス、お正月を迎えられます。

入学まで時間の余裕があり、それは気持ちの余裕にもつながります。
進学に伴って一人暮らしなどを始められる場合は、そのための引っ越し計画など新生活に向けた準備もゆっくりすることが可能。

入学したら忙しくなるので、それまでに他の資格試験やクラブ活動、ボランティア活動などに力を入れられ、残りの高校生活を有意義に過ごせるでしょう。

また、進学後に備えて、専門的な勉強を早く始めるのもよいでしょう。
一足先に、医学部生としての自覚を持ち、勉学に励むことができます。

学費が安くなることも

推薦入試で優秀な成績で合格した場合には、奨学金や学費の減免措置などがある学校もあります。

推薦入試の中でも、地域枠入試は特に金銭面での負担が少ないです。
毎月数万円の奨学金がもらえ、さらに条件にしたがって進学、就職まですれば返済不要のものもあります。

そのため、金銭面での負担を抑えたい場合も、内容や条件などをしっかり把握した上で推薦入試に挑むことは大きなメリットです。

医学部の学費の負担をなるべく軽減したいという方は、こちらも参考にご覧ください。
奨学金や学費のローンについて解説しています。


受験できるチャンスが増える

大学入学共通テストを利用する、一般入試だけで医学部を目指していると受験できる大学が限られてしまいます。

なぜなら、共通テストの点数によって狙える国公立大学が変わる可能性があり、私立大学受験にも影響するでしょう。

国公立大学の場合、同じ日程で行われますが、私立大学の一般試験は、日程が被っている大学もあり、移動の時間や各大学にかける対策時間を考えると実際に受験できる大学は数校だけになってしまいます。

推薦入試には、いくつもの種類の入試方式を行なっている大学もあり、大学ごとに試験日程や内容が様々です。
1つでも多くの受験のチャンスを得たいなら、一般入試と同様に推薦入試も頭に入れておくとよいでしょう。

推薦入試と一般入試の違い

推薦入試と一般入試にはどんな違いがあるのか、比較してご説明します。
自分にとって、一般入試と推薦入試とどちらのほうが合っているのか考えてみるとよいでしょう。

また、現時点では決められなくとも、様々な道があることを知っておき、今後の進路選択に役立ててみてください。

推薦入試の特徴

メリットの部分でも触れましたが、一般試験では筆記試験での学力重視です。
大学入学共通テストでは、多科目の受験が必要になるので、全ての教科をまんべんなく勉強しなければなりません。

一方、推薦入試では人物重視で、試験内容としては、小論文、面接が一般的です。
筆記試験が必要な場合も、主要科目だけの場合が多いので苦手な副教科などの勉強に時間を割かなくてもよいということになります。

試験日程にも違いがあります。
国公立大学の一般入試だと、1月に大学入学共通テスト、2月以降に大学の二次試験となります。
大学入学共通テストの結果によって、受験する国公立大学を決めるため、なかなかスケジュールが立てにくいです。
私立大学を何校も受験する方もいるでしょう。
そのため、年明けからの短い期間で試験本番を何度も経験することになります。

対して、推薦入試はここと決めた学校だけを受験するのが一般的です。
早くて11月に試験があり、合格すれば、年内に入試対策を終わらせることができます。

推薦入試の種類

推薦入試と一口に言っても、様々な方法があり、指定校推薦、公募推薦、総合型選抜、地域枠入試などがあります。
いくつかのチャンスがあるので、気になる方法から受験できる学校を探してみたり、志望校の推薦制度を確認してみたりして、可能性のある道をいくつもピックアップしてみるとよいでしょう。

指定校推薦

現在通っている高校には医学部の指定校推薦があるのかを確認し、先生に相談しておきましょう。
学校での生活態度、普段のテストや提出物、クラブ活動などにより、学校から推薦されれば受験可能です。

ただし、同じく指定校推薦を狙っている同級生がいたら、学内での戦いとなります。
指定校推薦を狙うなら、普段から学校生活で先生にアピールしておきましょう。
指定校推薦に選ばれると、専願で出願するのが一般的で、受験すれば高確率で合格できます。

公募推薦

医学部が定める基準に合っていて、学業やスポーツに秀でていたり、特別な資格(英語など)を持っていたりすると受験が可能。
大学が一般向けに募集しているので、自ら情報収集し、条件などを確認して出願する必要があります。

ほとんどの国公立大学で採用している入試方法です。
学業面では、高校の評定が5段階評価での「4.3以上であること」などの厳しい条件のケースもあります。
そして、公募推薦で内定が出ても、大学入学共通テストを受験しなければなりません。

私立大学によっては、浪人1年目の方も出願可能なケースもあるので、条件をチェックしておきましょう。

総合型選抜

各大学が独自の選抜方法を行なっており、人物評価が重視されている入試方法です。
私立大学で採用していることが多く、入学志願書、学生生活での経験や特技などが評価されます。

学業だけで評価されるわけではないのが特徴です。
試験では、面接、小論文、グループ討論、プレゼンテーションなどが課されます。

地域枠

地元で在学の方に出願を限定しているケース、現在その地域に住んでいなくても、進学し大学卒業後に大学周辺地域や過疎地域などで勤務することが条件となっているケースなどがある入試です。
地域医療に携わる意志が明確であることが条件です。

私立大学で、近年増加傾向にある入試方法で、一般入試より倍率が低いケースが多いです。
様々な条件をしっかりと理解した上で出願する必要があります。

推薦入試の出願に必要なこと

推薦入試は大学ごと、入試方式ごとに条件や準備しなければならないものが異なります。
しっかりと情報収集し、必要なものを集めなければなりません。

自分自身で用意するものだけでなく、在学中の高校の先生に依頼しなければならないものもあるので、見落としがないようにしっかりとチェックしておきましょう。

調査書や推薦書などの書類

推薦入試では、多くの重要な書類の作成、提出が必要です。
大学によって、提出するものは異なりますが、ここでは一般的に必要とされるものをご紹介します。

調査書

在学中の高校に発行してもらう種類です。
習得単位数、各教科の成績、学習態度、出欠の記録、特別活動(部活動、委員会活動、行事参加等)が記載されています。
この調査票の内容が基準を満たしていなければ、出願できない場合もありますので、注意が必要です。

学校長推薦書

学校長に依頼する書類です。
調査書と全く同じ内容にならないように、また調査書と齟齬が無いように、担任の先生にも相談しておき、作成してもらいましょう。

自己推薦書

志望理由や自己アピールをするための文書で、受験者自身が作成します。
医師になり活躍するために学ぶことの覚悟や意志、大学が求める人物像と一致していることなどをまとめましょう。
ここに記載した内容を面接で質問されることもあります。
推薦書の書き方は国語の先生や進学指導の先生などに指導、添削などをしてもらい、納得のいくものを作成する必要があります。

語学試験の証明書

英検、TOEIC、TOEFLなどの英語の試験や他の語学試験の書類で、自身で準備しなくてはいけません。
証明書の有効期限内であること、大学が定める期間内に受験したものに限ります。

アピールできる強み


スポーツ活動や文化活動、ボランティア活動など、アピールしたい実績などに関する資料があれば添付します。
特別な書類がなければ、学校が作成する調査書内に記載してもらうのもよいでしょう。

アピールしたいこと、記載してほしい内容があれば、事前に担任の先生に相談しておく必要があります。
語学以外でも取得した資格(漢検、日商簿記など)がある方は、その証明書を準備しておきましょう。

推薦入試の注意点

多くのメリットがある推薦入試に興味を持ち、選択肢に入れることを考え始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、推薦入試を検討する際に、頭に入れておくべき注意点をご説明します。
以下の点を理解した上で、推薦入試の準備、対策を始めてみてください。

全ての医学部で行われているわけではない

多くの国公立大学で公募推薦が行われていますし、私立大学では、総合型選抜の枠を増やしているところも多いです。
しかし、全ての医学部で推薦入試が行われているわけではありません。

一般入試しかチャンスのない医学部もあれば、推薦入試の枠を広げている医学部あります。
そのため、志望校では推薦入試が行われているのか、今後行われる予定があるのかを早いうちからリサーチしておきましょう。

推薦入試を行なっている医学部をリサーチし、志望校の幅を広げるという方法をとってみるのもおすすめです。
推薦入試の出願は早いので、できるだけ早くから情報収集をしておく必要があります。

併願や辞退ができないケースもある

推薦入試では、第一志望として専願で出願をすることが求められることも多いです。
特に、指定校推薦や地域枠入試では、合格した場合は辞退できずに必ず入学しなければならないという受験付きのものもあるので、しっかり出願条件をしておきましょう。

第一志望であればよいのですが、そうではなく、併願校として受けたいのであれば、推薦入試を選択しないほうがよいケースもあります。

また、地域枠では大学進学はもちろんのこと、卒業後の勤務先や勤務科なども大学側に決められてしまうことがあります。
進路の変更ができないので、大学入試の時点で地域医療へ携わる意志が固まっていないのであれば、地域枠での出願は見送ったほうがよいかもしれません。

対して、何が何でもその医学部に入りたい、どんな場所でもよいから医師として働きたいという方にとっては、専願での推薦入試が適しています。
自分に合った入試方法を選択しましょう。

一般入試以外の対策に時間がとられる

推薦入試で合格を目指しているものの、一般入試も視野に入れて勉強している方も多いことでしょう。
特に、公募推薦の場合は、高い評定が求められるため、一般入試よりも難易度が高い傾向になります。

そんな中で、一般入試の対策と推薦入試のどちらも検討するなら、両方の対策を同時に行わらなければならなくなります。
一般入試に絞って受験対策をしたほうが効率よく対策ができるのではないか、と考える方もいるかもしれません。
ただし、どんな入試方法で合格したとしても、入学後は全ての学生が肩を並べて勉学に励むことになります。

無駄になる学びはないので、一般入試で必要とされる大学入学共通テストに向けた総合的な勉強は継続して行く中で、効率よく推薦入試に必要な対策を取り入れていきましょう。
対策が必要なことを把握し、スケジュール管理をしっかりして準備していくことが求められます。

十分な対策が必要

これまで述べてきたように、推薦入試といっても大学によって、推薦入試の方法によって準備すべきものが異なります。
必要な情報を見つけるのは大変なので、自分自身でのリサーチはもちろんのこと、家族や担任の先生、進学指導の先生などにも相談をしながら、対策を進めていくとよいでしょう。

日々の受験勉強をしながら、情報収集やその整理を行うのは非常に負担がかかります。
また、推薦入試で課される小論文や面接の対策は個人で行うのは難しいです。

そこで、医学部受験対策に特化した医学部予備校に相談し、サポートしてもらうのも1つの手です。
高校の先生は、進学先が異なる多くの生徒の対応をしなければならず、決して医学部に特化した情報に詳しいわけではありません。
十分な医学部推薦入試をするなら、医学部予備校に定期的に通ったり、単発の講座を受けたりして、より濃い情報を収集し、抜かりなく対策していくのが効果的です。

推薦入試がおすすめの人は?

ここまで、医学部の推薦入試についての様々な情報を取り上げてきました。
そして、ズバリ推薦入試がおすすめの人はどんな人なのかをお伝えします。

自分自身は、一般入試一本で努力すべきか、推薦入試も視野に入れて対策をしていくべきか、今後の方向性を決める参考にしてみてください。

学部を志望する明確な動機がある人

その大学で学びたい、何が何でも医学部入りたり、という明確な動機がある方は推薦入試向きです。
推薦入試では、その意志の強さがあるかどうか、試験官に見抜かれてしまいます。

推薦入試をなんとなく、楽そうだから、などの軽い気持ちで受験して合格するものではありません。
熱い気持ちがある方は、準備もしっかりと進めていけ、試験当日もその思いを十分に発揮できるでしょう。

自身の考えをしっかりと発信できる人

推薦入試では、小論文や面接などで自分の医師への思いや進学後に学びたいこと、研究したいことなどをアピールする必要があります。
これには、明確な意志を持っていることはもちろんのこと、コミュニケーションの高さも関わってきます。

そして、コミュニケーション力というのは、医師になってからの患者さんとのやり取りでも非常に重要な能力です。
大学入試時点でこの発信力、相手の声を聴く力に長けている人は、推薦入試でもよい印象を与え、高い評価が得られるため、推薦入試に向いていると言えるでしょう。

学校の内申点が良い人

3年間コツコツと勉強を続け、普段の学習成績や学習態度がよい人は今後も医師という夢に向かって、しっかりと学んでいける人です。

高校3年生での一発勝負の試験で良い成績を残せるのも素晴らしいことですが、高校入学時からずっと真面目に学んで来た人がしっかりと評価してもらえるのが推薦入試とも言えます。

そのため、これまでの自分自身をアピールできるほどの内申点を持っている人には、推薦入試がおすすめです。

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