医学部受験における生物の勉強方法と出題傾向をご紹介します

公開日:2021.09.27 更新日:2021.11.08
医学部受験における生物の勉強方法と出題傾向をご紹介します

医学部への進学を目指すとなれば、やはり理系教科は欠かせません。
高校のうちから医学部進学を特化として理系教科へ力を注いでいる方も多くおられることでしょう。

そんな中、物理や化学と違い、生物の勉強法に苦慮する学生は多いもの。
なぜ、物理や化学ではうまくいく学習法でも生物ではそういかないのか、そして効果的な学習方法とはどんなものかご紹介します。
また受験時の出題傾向に関してもご紹介していきます。

 

医学部受験生物の特徴と出題傾向

医学部受験について、生物という教科がどのような立ち位置となっているのか、そしてその出題傾向とはどのような状況なのか、大学別にご紹介していきます。

まず、国公立の大学の場合です。
以前はセンター試験と呼ばれていましたが、2021年度からは大学入試共通テストと変更されています。
ここでポイントとすべきなのは、共通テストに変更された理由です。

ただ丸暗記された問題を答えるような出題ではなく、これからは思いを巡らせ、考えるという能力が求められます。
「考察型」「思考型」とも表現されていますが、単なる暗記力だけではダメだということです。

これは全ての教科に該当することとなります。
ですから共通テストを受験する場合には、従来通りの勉強に加えて、現在の社会ではこれに関係する問題はどんなことがあるだろう、そして自分はこれに関してどう意見を表現できるだろうという能力が試されるのです。

ちなみに2020年のセンター試験では細胞周期や遺伝子といった生命現象に関するフィールドから、生物の環境応答、個体群、進化のしくみ、生物の起源や系統といった、まさに生物全般がまんべんなく出題されていました。

一方、私立大学に関してですが、帝京大学医学部や東海大学医学部などは理系選択が1科目であり、物理や化学、生物のいずれかを自身で選択することが可能です。
物理や化学は、比較的従来と同様に暗記を中心とした出題傾向にあり、勉強法としてもいかに多くのことを覚えられるかというところがポイントとなるため、覚えている数の競い合いといったことになりがちです。

その点生物は、高得点を得られない一方、ある程度大切なベースさえ把握する勉強法を得られれば、安定した得点を目指せる利点があります。
基本となるポイントをしっかりと押さえ、そこから波及するキーワードを把握しておけば、たとえ出題傾向が多少外れたとしても、不安に陥るおそれも少なく済むでしょう。

 

医学部受験生物で問われる力

では、医学部受験の際に生物を選択するならば、どんな勉強法そしてどんな能力が求められ、試験で試されるのかというところについてご紹介します。

まずは何よりも大切な暗記力です。
これに関して理系の物理や化学も同様に必要な力ですが、生物も同じように暗記する力が求められ、ここが全ての基礎ともなり得る部分です。
医師の道を志すには、生物の教科で学ぶ様々な事象が基礎となるもの。
その基礎を学ぶ上で、最低限覚えていて当たり前のことを暗記するというのは、医学部を志すうえで欠かせない点です。
ですから、勉強法の中でも、単なる丸暗記ではなく、何と何がつながるのか、点で学ぶのではなく、線でつながる暗記力を身に着けるよう心がけることが大切です。

そして文章読解力も必要です。
問題が何を表現しているのか、何について論じよといっているのか、その問題の内容をよく理解できなければ、求められた答えを回答することはそもそもできません。
書かれた問題をそのままに読むだけでなく、行間に隠された本当の問題点を見極め、それに解答すること、そのためには日頃から、文章が何を伝えているのか、考えながら読むクセを身に着ける必要があります。

加えて文章作成力、論述する力も欠かせません。
自身が作成する文章が、何を伝えたいのか分からなければ、それはそもそも文章といえません。
文章とは、他人が読んでみて何について書かれているのか、理解できて初めて文章なのです。
覚えた言葉をただ羅列するのではなく、そして難しい言葉をたくさん使えばいいのではなく、読み手が分かりやすい表現ができるかが重要です。

 

医学部受験生物の正しい勉強方法

医学部合格を目指して行う勉強法は、一般的には必要なものを記憶すること、そしてインプットした内容を的確にアウトプットできることが基礎となります。
これはどんな教科や分野でも同じことといえましょう。

もちろん、生物でもこうした正しく記憶し、正しく答えに生かすことが一番大切ですが、それだけではダメなのです。
例えば、私立大学の医学部受験に出題された問題では、基礎となる部分から派生させ、そこに実験操作の結果を盛り込むよう指示される問題が出題されることがあります。
大学によって出題の傾向は異なりますが、受験生自身がどのように暗記し、それをどう理解しているのか、そこに探りを掛けてくるような問題も出題されるということです。

単なる暗記ではなく、その理論はどんな構造をしているのか、特に実験考察問題などではその理論を理解しているのか、ということに鋭く迫る問題は多く登場します。
理解していることをしっかりとアウトプットできることも大切です。

これらを踏まえれば、医学部受援の際の正しい勉強法とは、教科書レベルの基礎は正しくしっかりと把握したうえで、それがどんな構造をしているのかを理解すること。
そして教科書などで説明される実験操作と思考回路を正しく理解したうえで表現できるかという点を踏まえて学ぶことが求められるということです。

 

医学部受験生物におけるよくある失敗

意外に陥りがちな医学部受験生の失敗として、医療系の知識に偏ってしまうということがありえます。
生物を選択し、生物に関係するキーワードを中心とした勉強法を続けていると、どうしても意識が医療系に偏っていきがちです。
将来を見据えて興味が医療系につながってしまうのですから仕方ないですし、良いことでもありますが、勉強法としては少し問題があります。

やはりまんべんなく、生物の教科を全体的に学ぶことが求められます
センター試験の過去問を振り返ってみても、生物の教科全般がまんべんなく出題されています。
それを踏まえてみても、医療系に偏らず、全般を把握することこそ、高得点へとつなげる道となるのです。

偏らないための勉強法としては、まずご自身の生物教科の習得度を把握してみましょう。
グラフやデータ化など、目に見える形にしておく方が、よりご自身の勉強意欲を刺激しやすいかもしれません。
そしてそのうえで、どんなところが足りないのか、またどんな部分に力を入れていたのか、客観的に把握してみるのです。
問題点の改善には、客観的な目線は欠かせないもの。
こうして可視化することで、自分のウィークポイントも明らかとすれば、失敗を回避することもできます。

 

医学部受験生物の具体的な勉強の流れ

医学部受験に際しての生物の勉強法としては、まずなにより暗記を重点としましょう。
しっかりと基礎を把握し、暗記しておくことはその後の展開に大きく影響します。

というのも、暗記によって生物のおおよその基礎を理解できているともいえるからです。
知識問題は、正しい暗記によって正しい解答への道筋をつけることができます。
大きな点の落ち込みを避けるうえでは、この正しい暗記は必須ともいえます。
覚える際には、ただ言葉を暗記するのではなく、何に関するものであるか、どこにつながるキーワードになるものかを添えて覚えることがポイントです。

そして生物という教科は、誰もが満点をとれる教科ではないと理解することも必要です。
基礎を覚えても、それを正しく表現できる人は少ないもの。
それが満点の道を厳しくしている理由です。
無理に正しい論述を模索するよりも、今ある記述をしっかりと理解すること。
しっかりと正しく理解できてこそ、正しく表現できるのだと認識することが大切です。

そのためには、教科書や参考書で基礎知識をしっかりと把握し、そのうえでその暗記できた内容を表現できるか、問題集でチャレンジしてみるというのがオススメです。
基礎固めができていることを確認してから、応用問題に進むという流れが適切といえます。

 

医学部受験生物のおすすめの参考書

医学部受験の際には、教科書も大変重要ですが、参考書や問題集も欠かせないことはいうまでもありません。
というのも、過去に私立大学医学部では、教科書で掲載されていないような問題を出題したことがあり、教科書の内容だけでは安心して医学部受験できる状況下にはないのです。
基礎となる教科書のほかに、それを補完する参考書についても検討するべきといえます。

オススメなのは、少し目で楽しめるようなもの。
数研出版から発行されている「視覚でとらえるフォトサイエンス生物図鑑」は、画像資料が多く、問題を目で楽しみながら覚えることができます。

そのほか、旺文社発行の、「生物『生物基礎・生物』基礎問題精講」は、テーマ別に構成され、生物教科の解説がされています。

暗記をある程度進めた後には、問題集で力試しするのもオススメ。
特に「大学入試共通テスト生物予想問題集」などは、思考調査と予想問題を2回分網羅し、過去問をおさらいしながらチャレンジできるため、どんな分野にどんな挑み方をすべきか、自分自身で考えながら取り組むことができます。

過去問は、大学の出題傾向を把握する上でも重要なポイントとなりますから、ご自身の志望大学の過去問をピックアップしてチャレンジしてみるというのも良い力試しとなるでしょう。

 

まとめ

とくに生物はミドルリスク・ミドルリターンともいわれ、高得点を得られない反面、安定した点数を得る可能性の高い教科ともいわれます。
そんな教科で安定した点数を得るのにポイントとなるのは暗記力、読解力、論述力です。

どうしても受験時期が近づくと、周囲と自分の温度差や、持っている能力を比較しメンテル的に追い込まれがちですが、生物の教科は他人と比較することだけでなく、自分という生物を把握する勉強法でもあると心得ましょう。
過去の傾向を探りながら、ご自身の勉強法も計画的に進めることで、チャンスをものにできる可能性は高まります。

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